Drums: 淳士
(SIAM SHADE/BULL ZEICHEN 88)

ーーAcid Black Cherryニューアルバム「Lーエルー」がついにリリースされます!ってことで今回は、淳士さんに色んなお話をお伺いしようと思っております!まずは、ABCのアルバムのお話からお伺いします。これまでにABCは3枚のアルバムをリリースしてきましたが、淳士さんは、ABCのアルバムにどんな印象をお持ちですか?

淳士:やっぱりね、コンセプトアルバムっていうのをyasuは得意としてると思うんだけど、今までのアルバムそれぞれに、一生が詰まってるというか、何かの生涯がそこにあるって感じが個人的にはすごく好きですね。その世界の中で生きていく感じというか、ひとつの物語がそこにあるっていう感じがね。もちろん起承転結があって、その中に色んな曲調があって、おちゃめな曲も全然関係ないことを歌っているようでも、そのコンセプトの中に入ると、ちゃんとその曲も意味を持っていたり。大きなストーリーの中に、それぞれの曲が生きている感じがするし。

ーー今回のアルバム「Lーエルー」も、エルという女性の生涯を描いたコンセプトアルバムになっているので、それこそ生涯が描かれていますしね。淳士さんはレコーディングの際、「Lーエルー」がどんな作品になるみたいな話を聞いてたりしたんですか?

淳士:全貌はね、全然聞いてなかったんだけど、インキュバスのPV撮影に参加させてもらったんで、世界観は知ってた。あとはあのMVにめちゃくちゃお金がかかってることも知ってる(笑)。撮影の現場でも、あの映画みたいなドラマシーンが流れてて、僕はそれを「参考資料として海外の映画でも見てんのかな?」って思ってたんですよ。で、「こんな感じの雰囲気になるの?」って聞いたら、「いやーこれ大変でしたよ」とか言ってるから、「え?これ撮ったの!?」って(笑)。思わず僕は、あれをどうやってオタクで再現しようかって、先の先まで考えたからね(笑)。それは冗談としても、あの「INCUBUS」の映像だけでも、この「Lーエルー」への想像力をかなりかき立てられると思うよね。いいとこ突いてるなあって。

ーー今回のニューアルバム「Lーエルー」、淳士さんにもレコーディングに参加していただきましたが、yasuさんが作るデモ音源を聴いた印象はいかがでしたか?

淳士:いつもそうなんですけど、デモの段階で完成されているくらい作り込まれてるよね。yasuがあそこまで作り込むってことは、完成の理想が見えてるってことだから、まず僕はその理想を再現するってことを考えますね。

ーーyasuさんはドラムへのこだわりもすごく強いから、デモ音源のドラムもすごいですもんね。

淳士:yasuはドラム好きですもんね。もしかしたらyasuは、僕よりドラム好きかも知れない(笑)。

ーーそうなんですか(笑)!?

淳士:僕もドラムがもちろん好きだけど、ドラムオタクではない。でもyasuって、そういうところも持ってる気がするから(笑)。

ーーなるほど。突き詰める人ですもんね。そのデモ音源を聴いてレコーディングに臨む上で、淳士さんが心がけることってどんなところでしょう。

淳士:僕が参加する意味って言うのは、デモ音源からイメージを膨らませることではないんですよ。あくまでyasuの理想を再現する。でも、それだけだったら打ち込みでいいじゃないですか。だからそこにyasuの思いもしなかったプラスαを提示する。自分では、精密なパフォーマンス・プレイってよりは、ヒューマンの部分っていうか、良くも悪くも雑な部分っていうか、それが絶対僕だと思うので。「機械みたいにやってください」って言われても、それは僕にはできないんだけど、でも、よく言えば、僕は曲に元気を与えることは出来る。世の中、それが求められることばかりじゃないし、僕が叩いたら曲が変わるなんて思ってるわけでもないけど、元気にはなると思うんですよ。心がけるというか、僕がやる意味というところで言えば、そこかな。あとは、プレイしながら自分でもアイディアが湧いて来るので、そういうのはyasuに「試しにこういうのどう?」みたいなことを聴いてもらうこともあって。もちろん、「おもろいっすね!」って採用されることもあれば、「ごめんなさい、元の方が良いです」ってこともあるけどね。

ーーそういう提案って、yasuさんもすごく嬉しいことだと思うんですよ。

淳士:だとしたらこっちもすごく嬉しいよね。でもそれ、嫌がる人は嫌がるんで、勇気がいるんですけどね。善かれと思った一言で、気分害しちゃうことも世の中にはきっとあると思うから。でも、yasuはそういう人じゃないんで提案もしやすいんですよ。

ーーレコーディングって、どんな雰囲気で進んで行くんですか?

淳士:いつもね、「おはよー」って入って行って、雑談から入って、他愛もないことを話しながら本題に入ってレコーディングが始まる感じで。さほどレコーディング中のエピソードっていうのはないんですよ(笑)。曲に集中してるとこもあるんで。あと、レコーディング中は、僕とyasuの間に厚いガラスの隔たりがあって、直接会話が出来ないんです。yasuがいるブースのyasuの手元に赤いボタンがあって、それを押すとトランシーバー状態の一方通行の会話ができるんだけど、yasuはスピーカーから、僕はヘッドフォンからお互いの声を聴きあってる。お互いの表情は見えないけれど、ヘッドフォンから聴こえる声でyasuの表情が見えるんですよね。僕としては、yasuにケツを向けることはできないんで、ドラムセットはyasuの方を向けてます。yasuが部屋を移動したら、そっち向けるくらい(笑)。

ーー(笑)。初めてABCのレコーディングに参加した時のことって覚えてます?

淳士:「BLACK LIST」に収録されてる曲を、数曲レコーディングしたのが最初だよね。あの時と今とを比べて、違うことといえば、まだあまりyasuがドラムに関して何も言わなかったことかな。多分、気を遣って言えなかったんだと思う。先輩臭が強いから(笑)。一応、音楽業界的にいうと、やっぱyasuの方が後輩っていうのがあったんだろうね。僕は「お前は(このプロジェクトの)大将なんだからドシっとしとけ!」って言ってたんですけど、「いやいや、ここで気を遣わなくてどこで気を遣うんですか!」って強く返されて(笑)。そのくらい良いヤツなんですよ、yasuって。

ーーへえー!そんなことがあったんですね。

淳士:うん。今もそうだけど、まずは「淳士さん好きなようにやってください。思うところがあれば言うんで」って言ってくれる。どうしてもってところだけ「すいません!淳士さん、あそこだけこう叩いてもらっていいですか」って言うくらい。ツアーも何本もやっていくうちに慣れて来て、言いやすくなってくれて、色んなことをディスカッションして。そういうのこっちも嬉しいじゃないですか。

ーー制作だけじゃなく、ライブでもそういうコミュニケーションをしながら、一緒につくってる感じもありますしね。淳士さん、ABCのライブの初めてってどんな感じでした?

淳士:僕の初めてのABCは、デビューする時のフリーライブですね。結構覚えてますよ。最初の印象は「すげー人気だな」って感じですよ。「7000人?こんなに集まっちゃうの?」って。すごい愛されてるなって思ったし、Acid Black Cherryって名前でソロプロジェクトとして立つyasuは、これほどまでにみんなに待ち望まれてるんだなって。yasuって、楽曲ももちろんなんですけど、歌詞も天才だと思ってて。なんでそんな女心分かってるんだって思うし、こういうことを歌ってくれたら絶対ファンのみんなは嬉しいだろうなって曲もある。そういうところが、こうやって人が集まって来る理由なんだろうなって。僕もいつも後ろで聴きながらジーンとしてる。

ーーいつも後ろでyasuさんを支えている淳士さんが、ライブで心がけてることってどんなことですか?

淳士:やっぱりね、出るとこ、引っ込むとこはきちんと考えますね。あとは、yasuと同じところでブレスしてみたりとか。そのことで、歌い始めとドラムのドーンってところが一緒になる。yasuの背中で呼吸を見るっていうかね。yasuがステージで何を求めてるかっていうのを、ずっと後ろから見てますからね。みんなの背中をみてますけど、やっぱり一番見てるのはyasuだから。やっぱね、ライブなんですよ、僕が一番輝いてる時って。そんなこと言っちゃダメなんだろうけど、そう思ってるんです。レコーディングって音だけじゃないですか。音だけで上手い人って、変な話、プロじゃなくてもたくさんいるんですよ。そんな世の中なんですよね。でも、ステージってそれとは別で、エンターテインメントだから、その中でyasuを輝かせるのは僕すごく上手いと思うんです。僕がステージが好きなんで、それはもう任せとけ!って感じですよ。

ーー頼もしいお言葉、すごく嬉しいです。

淳士:でもね、yasuも僕らに「皆さんが自由にのびのびプレイしていただくのが、一番カッコいいわけだからそうしてください。そうすることがABCのステージがかっこ良くなるってことだから」って言ってくれてね。こんなこと言う人ってなかなかいないよねって思った。だからこそ、出るとこ、引っ込むとこの線引きもきちんとしようと思ったし、何かがあった時には絶対に支えるって思った。「Q.E.D.」のツアーの時にyasu、不調だったじゃないですか。あの時、「もし万が一、yasuが途中で事切れて、yasuの声が止まっちゃったら俺が前に出て行って俺が歌うから、俺の隣にいろよ」って心底思って、そう伝えたんです。何があっても大丈夫だと思ったし、yasuを絶対に1人にしないって。yasuはね、そういう忠誠心を持たせてくれるというか、そういう気持ちにさせてくれるんですよね。

ーー淳士さんは客観的にAcid Black Cherryを見た経験もあるじゃないですか。客観的に見たAcid Black Cherryってどんなものでした?

淳士:今までの僕のいい印象が一気に変わるかも知れないけどいいかな(笑)? Re:Birthのツアーで、横浜アリーナのスタンドから見てて、すごい嫉妬したね。YUKIと一緒に見てたんだけど、同じ気持ちだったと思う。だからね、正直、冷静には見れてないんですよね。他人事じゃなかったのもある。頭の中には聴こえるはずのないクリックが鳴っていたり、気が気じゃなかった。だから、純粋に楽しめてたかって言われたらそうじゃなかったし、客観的にAcid Black Cherryを見るって言う冷静さはなかったかも知れないね。でも、「冬の幻」の息をひそめて、手に汗握るあの間とかね、ああいうのはステージの後ろからでは見れないものだったかな。こういう風に見えてるんだなって。照明とかもそうで、ステージにいたら絶対に見れない景色はそこにあったけど、でもやっぱり冷静ではいられなかったね。

ーーその時もそうですし、ステージからもABCのファンの皆さんを見ることがあると思いますが、TEAM ABCの皆さんってどんな印象ですか?

淳士:世代の幅が広いのもすごいんだけど、若い子が楽しそうにしてるのもすごいよね。自分とほとんど変わらない年齢の人が、ピチピチのキャピキャピの女の子たちにもキャーって言われてるのはすごいなって。確かにyasuはカッコいいもんね。これはカッコいいわって思う瞬間たくさんあるし。世代問わず、人を惹きつけるyasuはすごいですよね。声もいいんですよ。この世界にひとつしかない声ですよね。

ーーでは、yasuさんのパーソナリティについてもお伺いします。yasuさんとはABCでサポートしていただく前からお知り合いだとは思いますが、淳士さんから見たyasuさんってどんな人ですか?

淳士:先輩後輩みたいな感じに見られますけど、直接先輩面したこともないですし、プライベートで会ったのなんか、1回2回だったと思う。ある時に、飲みの席にyasuが参加してくれたことがあって。その時僕らは結構飲み散らかしてたんだけど、いつの間にかyasuがいなくて、「何だよアイツ帰ったのかよ!」とか言ってたら、会計が全部済んでるみたいなことがあって。なんだこの粋な男はって思ったのが最初の印象というか。そこから今まで、並々ならぬ気を遣ってもらってる。単純に「良いヤツ」って言葉では表せないくらいの良いヤツで。yasuって、全然気取ってないんだよね。アーティストさんって、近寄りがたいオーラをまとってるイメージがあるけど、yasuにはいい意味でそれを感じることがなくて。悪いところがないんです。ステージ上がったら、オーラ放ちまくりのスーパースターなんだけど、同じ鍋をつついてくれる仲間でもいてくれる。いつでも友達でいてくれる。それがすごいなって。yasuは、僕らが踏み込めない天井裏みたいなところに入らないようにしてくれてるんだと思うんだよね。すごく常識人だし、ちゃんと人を見てると思うし、yasuのモノサシでちゃんと測ってるところもあると思う。でもその上で、接しやすい、付き合いやすい、言いやすいyasuでいてくれてる。最終的に白黒ハッキリつけてみんなをまとめられるところも持ってるし、良い大将だと思いますよ。

ーーそれが、何年あわなくても変わらないんですよね、yasuさんって。

淳士:そう!そうなんだよね。人ってさ、変わってっちゃうんだろうけど、yasuって全然変わらない。それは宝だと思うんだよね。

ーーでは最後に、この特設サイトを読んでアルバム「Lーエルー」を楽しみにしている皆様にメッセージを。

淳士:僕もまだ「Lーエルー」の全貌は見えてないですけど、Acid Black Cherry・yasuのしでかすことですから、何の心配もないですね。みんなで一緒にワクワクしましょう!そして、ツアーでも一緒に楽しみましょう!