Guitar:YOU(DEAD END)

ーーyasuさんが影響を受けたアーティストとして名前を挙げているバンド・DEAD ENDのギタリストのYOUさん。今回はYOUさんにも色々お話を伺っていきたいんですが、まずはYOUさんの目には、Acid Black Cherryってどう映ってますか?


YOU:僕は最初、イメージでは普通のJ-POPに近いのかと思ってたんですよ。でも、一緒にZEPPツアーを回らせてもらった時(2011年に行われたイベント「SIX SENSE」)にライブを見たら、「テクニカルハードポップやないか!」と。「なんやこのテクニカルな連中は!」って思ってね。全体的に、すごいバンドサウンドでびっくりしてね。なのに、音源で聴かせてもらってたのと曲の印象が変わらずに、ボーカルがガツンときてる。すごいなと。あとは、曲が良質だよね。小学校とか中学校くらいの時、僕はテレビの音楽番組を見ていたタイプじゃなかったんだけど、商店街とかショッピングモールを歩いてると、その当時ヒットしている曲が流れててね。そこで色んなヒット曲のオンパレードを耳にしていたんだけど、ABCの曲はその感覚に似てる。サウンドが歌謡曲っぽくないから、歌謡曲には聴こえないけど、めちゃくちゃ極端な話、昔の歌謡曲の寺尾聡さんとか、ピンクレディー、キャンディーズって、好みはあるにしても良質なポップスであることには変わらないでしょ? 今でも普通に聴ける楽曲だもんね。ABCってそういう良質な曲ばかりなんですよ。大好きなバンドでも好きな曲と、そうじゃない曲があると思うけど、ABCのライブを見てたら、知らん曲でも全部聴けるなって。それもびっくりしたよね。yasuが「DEAD END大好きです」って言ってくれてたから、どっちかっていうとマニアックな、アンダーグラウンドなのを聴いてたのかなって思ったら、「全然そんなん知らないですよ、洋楽なんて聴いたことないです」って言うから、なるほど!って。


ーーそうなんですね!で、その「SIX SENSE」で毎日をご一緒して、yasuさんのことももっと深く知っていただいたと思いますが、yasuさんの印象ってどんなでした?


YOU:それまではね、どんな子なんやろうっていうのも知らなかったんだけど、こんだけ良質な曲を書いて、まず遊び呆けてるわけがないと。家でしっかりやっとんな、と。迂闊なことを思っていたらあかん、すごいアーティストかもしれん。って思ってね。ツアー行ったら一緒に食事したり、一緒に移動したり、同じ時間を共有したりするんで、ものすごくナーバスな人だったらどうしようって不安もあったけど、話してみたらすごい気さくでね。そして、僕がびっくりしたのはね、yasuはギターが大好きっていうこと。ボーカリストだから、日本の歌手の方に影響を受けてるっていうのはあるにしても、ギターも詳しいんだよね。ABCの楽屋に遊びに行って、ギターを弾いてたんだけど、普通で言えば、HIROとかYUKIと談笑しながらみたいな感じでしょ?でもね、いつも僕の正面にいるのはyasuで、ガン見しとるんですよ。「恥ずかしいから見んといてくれ」って言うんだけど、ガン見しながら毎回「なんでそんなギターうまいんですか?」って言うんですよ。ギタリストじゃないから、何をやってもすごく見えるのかな?って思ってたんたけど、色々話すうちに、ほんまにギター好きやねんなって。サウンドチェックとかリハも見に来たり、僕のエフェクターのぞいたり。すごくギターが好きなんだなって思った。



ーーそこから、どんどん関係が深くなっていきましたよね。一番印象に残っている関わりってどんなことですか?


YOU:一番強烈なのは、レコーディング(『2012』に収録された「Fallin' Angel」)のときかな。僕はね、ABCのアルバムを聴いて「これは強烈に音楽的なジャッジをする人間が誰かいるんだろうな」って思ってたんですよ。でも、スタジオ行ったらyasuしかいないから、「プロデューサーの方はまだいらっしゃってないの?」って聞いたら、「いてません」と。「えええええ?」って思ってね(笑)。急に不安と安堵が交差したんだけど、その音のジャッジをyasuがやってるってことは、求めてるものがちゃんとあって僕が呼ばれてるんだろうなって思ったんです。僕は僕らしく弾けばいいのかなってね。その時に、何を弾いても「すごいです!」「完璧です!」って言ってくれながらも、「ここはこんな感じなんですよ」ってこともあってね。yasuの頭の中では、ちゃんと完成形の音がなってんねんなって。


ーーレコーディングに当たって、YOUさんもyasuさんが作ったデモ音源を聴いていただいたと思いますが、そのデモの印象も聞かせていただいてもいいですか?


YOU:アレンジャーの方が作ったのかと思ってたんですよ。曲はyasuが書いてるだろうけど、よく出来たデモやから。そしたら自分で作ってると。それに驚愕してね。よくありがちな、ラジカセの録音ボタンをガチャっておして「ららら~」みたいなんでは全くなくてね。きちんと曲のイメージが沸く感じで。ちゃんとしとんな、と。思った通り遊び惚けてるだけじゃないぞ、と。ロックンローラー的に「いや、適当ですよ」とか言うけど、適当な生活をしてあんなもんはできるわけないからね。自分もそうだからよくわかる。あれは大したもんやって思いますよ。ボーカリストで、アレンジャーがいなくてあのデモを作るって大したもんやな。しかも雰囲気があるってね。腹が立つ(笑)。


ーー腹が立つって(笑)。


YOU:ほんまはね、素人くさいところがあったり、やっぱりボーカリストが作るデモはこんな程度ですよねって僕は思いたいんですよ(笑)。そう思いたいのに、結構イケてるやないかと(笑)。しかもアルペジオとかもすごくてね。
レコーディングの時に、「アルぺジオは、デモのままでいいん違う?」って言ったんですよ。選んでる音色も良かったし、何を変える必要があるの?って思ったから。そこで、彼に「決してアコギを弾くのが面倒くさいから言ってるのではなく、あくまでこれがカッコいいから」と言ったんですけどね(笑)。それくらいカッコ良かった。僕も毎日デモを作ってるから、その自分のデモが基準でしょ。自分が作ってるデモよりはるかに良くないと、「このデモすごいな」って思わないんですよ。バンドマンが作ってるデモで、なかなかあんなにちゃんとしてるのは少なくてね。そういうところは、例えばいろんなプレイヤーを呼んでも、頭で鳴ってるものは一つなんやろうなって思うよね。それがきちんとあって、このフレーズはあの人、このフレーズはあの人、あの人が叩いてくれたら、こういうサウンドになる、っていうのが頭の中にちゃんとあるんだろうなって思った。


ーーあのレコーディングで、YOUさん自身が気を使われたことってありますか?

YOU:まず、「Fallin' Angel」は、1曲目になる予定なんですって言われて、「ゲ!」みたいな(笑)。なので、自分のバンドでもそうなんですけど、わかりやすくプレイしようと。僕はね、バッキングもソロもそうなんですけど、メロディが決まってる時はそれに忠実に弾くけど、決まってないアドリブの時は、その場のイメージだけで弾くんですよ。「Fallin' Angel」は、ちゃんと曲が出来上がってたんでね、雰囲気に合わせてプレイするってことかなと。


ーーそして『2012』が出来上がり、それを聴いたときどう思われました?


YOU:単純にめちゃ嬉しかったし、カッコええなって。トレーに乗っけてスタートさせて、「あ!僕や!!」みたいな(笑)。僕がやったもの以外の曲も、そのままダーっと最後まで聴いて、やっぱり曲がいいなと思ったよね。僕がいつもABCに面白いなって思うのは、よくありがちな、ハードでポップでって感じではないっていうところかな。サウンドはヘヴィで、でもボーカルはガツンときてて。ポップやけど、よくありがちなハードロックバンドがやってるポップな曲ではないっていうのが僕はいいなと思ってて。めちゃくちゃハードなサウンドなのに、あそこまで唄が聴こえてくるのはなかなか難しいバランスだよね。やっぱり洋楽、邦楽問わず、いい楽曲っていうのは、同じコード進行とメロディをバンドでやらなくても、アコースティックギターと唄、もしくはピアノと唄で必ず成立する。それが僕の、良質な楽曲の定義だったりするんだよね。昔の歌謡曲も全部そうでしょ?ABCもバンドはすごくハードだけど、楽曲自体はピアノと唄だけでも成立するくらいの素晴らしいものになってるなって。あとはね、僕も曲を書くので、メロディ以上に重要に思ってるのはコード進行なんだけど、それが変わるだけでガラッと雰囲気が変わったりする。yasuの曲を聴いて、いつも面白いコード進行使ってんなって思ってるんですよ。ここでこのコードに行くんや!って悔しいけど勉強になったりしてる。・・・ちょっと腹立つ(笑)。



ーー(笑)。でもほら、それって、YOUさんの曲に影響を受けてきたからじゃないですかね。

YOU:いやいや、もちろんそういう話を聞いたら単純に嬉しいけど、yasuにはきちんと自分の世界があって、こうなったらこうなるっていう自分の中の理論があるのを感じるんだよね。


ーーオタクといいますか、こだわりとそれを突き詰める人ですもんね。yasuさんも。

YOU:やっぱりね、オタクじゃないと僕らは務まらないなって。毎晩飲み歩いてるようじゃ、僕らはプロなんで、いいものができるわけがない。部屋に引きこもって、オタク的に突き詰めないといいアルバムはできないけど、オタクだからといってかならずいいアルバムができるかっていったら、そうとも限らないっていうのが難しいんだけどね(笑)。オタク度100%、アーティスティック度ゼロでもダメやろうし。yasuはそのバランスが、私生活とステージ立つ時ですごく取れてるんだろうなって思うよね。


ーーそうかも知れないですね。


YOU:うん。僕は何でもバランスやと思ってね。例えばさっき、すごくサウンドはヘヴィーで、メロディーとコード進行がしっかりしてるから、すごくポップに聴こえるって言ったけど、どんだけヘヴィでも、メロディをポップにしたら、こういう風に共存できるのかっていったら、難しいと思う。一歩間違えたら、ハードでポップなダサいサウンドになるんで。アレンジも、自分たちでアレンジすると、ちょっと古臭くなったりすることもあるんだけど、ABCはそうじゃなくて時代を感じさせないところがかっこいいもんね。これ結構重要でね。昔のを今聴いたら「古臭っ!カッコわる~」ってなるものが、世の中にはあるでしょ?ABCはそれがないからね。小さい頃に歩いてた商店街で、当時流行ってた歌謡曲の感じもあるから、どっかで古臭さがあってもおかしくないのに、でも聞いてみたらそんなん微塵もなくて。不思議やけど、一番難しいことをポップに表現できててすごいなって思うんですよ。歌謡曲を聴いて育ったのかもしれないけど、それの焼き直しでもないしね。焼き直しでも受け売りでもなんでもない。それがすごい。


ーーなるほど、すごくありがたいお言葉です。ではYOUさん、ABCのライブってどんな印象ですか?


YOU:ライブも全てをポップに表現してるでしょ?トークしかり、プレイしかり。マニアックな連中が集まって、マニアックなサウンドを出してるんじゃなくて、それぞれが役割があってね、すべてそれを良い意味でポップに表現してる。MCも、半分は小学生の子供から60~70歳の皆さんが楽しめる内容だけど、半分はワイセツなみたいなね(笑)。女の子もたくさんいるから、ワイセツなことばっかりじゃダメやろうし、でも、ありきたりなことばかりでもダメやろうし。そういうところもバランス良くうまいこと構築されてんなって思って。しかもそれが、作為的ではないのが僕はポップに感じてね。



ーーABCのライブってその場その場で違ったことが巻き起こる感じがしますもんね。


YOU:そう。トークも、みんなを楽しませる内容だけど、脚本めいてないのがいいよね。「あぁこれはスタッフと相談して、バランスとか考えてるんだろうな」って思うようなものは、急にポップさを感じなくなるからね。ABCはそうじゃないもんね。yasu独特の世界で、yasuの人間性もポップなんで、全てを上手くバランスよくやってんなって。だからね、ABCって「サザエさん」みたいなバンドやなって。テレビ見てるみたいなんだよね。これ、お茶の間なんやなって感じがすごいしてね。どこで見てもその感じがする。普通ね、おばあちゃんくらいの世代の方が来てたとしたらね、だいたい興味のない顔してるか、あくびしてたりして、「あぁ、娘に連れてこられてんやろな」っていうのがあるけど、そういう年配の方も小さいお子さんもものすごくみんな楽しそうだもんね。これは完全に「サザエさん」だと。僕が思う「サザエさん」ってね、小学生からお爺ちゃんお婆ちゃんまで楽しめるものなんだけど、そういう意味で言ったら、ABCって日本を代表するような存在になってるんじゃないかって思うんだよね。お客さんが曲をリクエストするコーナーもあったけど、ハラハラドキドキする感じと、ワクワク感が伝わってきてね。それがものすごく人気番組を見てるお茶の間のように感じた。なかなかあの規模でそれを伝えるのは難しいと思うけど、毎回それを普通にやってのけてる。僕らにはなかなかできないことやなって。


ーーYOUさんもいつもすごく楽しんでいただいてて、我々も嬉しいです。

YOU:思ってるよりちょっと良かったり、思ってるよりちょっと良くなかったりっていうのも楽しみたいよね。僕はいつもパーフェクトなものを求めて見に行ってないのでね。メンバーの演奏も好きっていうのもあって、そういうのも楽しんで見てるよね。でもね、僕が好きなのは曲。聴いたことのない曲でも、なんで僕はキュンとしてるんだろうって。新しいアルバムもまだ全部聴いたことないけど、おそらくキュンキュンするんだろうなって思ってるよ。女の子が、「そうなのよ!女の子ってそうなのよ!」って思ったり、その裏で、「そうなんだよ!男ってそうなんだよ!」っていうのもあるしね。もしかしたら、僕は自分のバンドよりABCの方が歌詞を知ってるよ。僕のバンドのメンバーには悪いけど(笑)。

ーーそれ、すごい!

YOU:なかなかね、僕が歌詞にまで興味が行くってなかったからね。でも唯一かも。僕は他にもライブを見に行くけど、唄をメインに聴きに行くことっていうのはなくてね。ABCが唯一かもね。僕は基本的には、今日はどんなギターサウンドなんやろ、今日はどんなドラムの音で、どんなバンドサウンドなんやろ、その上で、ボーカルはどんなバランスで後ろの席まで突き抜けてくるんやろって、そういうところに興味があるんだけど、ABCだけは唄を聴きに行ってる。だから知ってる曲になると、ちょっと「るるる~」って言ってるし(笑)。同じようにラブソング唄ってるヘヴィなバンドはいっぱいいるけど、ABCみたいに歌詞が入ってくるバンドはなかなかいない。


ーーそうなんですね。では、唄の流れでお伺いしたいことがありまして。「DEAD END Tribute -SONG OF LUNATIC-」の「SO SWEET SO LONELY」は、どんな印象でしたか?


YOU:個性豊かな連中ばっかりで面白いアルバムだよね。自分たちの曲に興味を持ってもらえることが嬉しかったよね。で、あのアルバムは、僕らのバンドサウンドに忠実なアレンジのアルバムだったけど、yasuのトラックを聴いて、あれこそアコースティックギターとyasuっていう「SO SWEET SO LONELY」も聴くてみたくなった。一つの楽器とyasuの唄っていうのでも、結構ええんちゃうかなって。あのトラックのバンドがどうってことではなく、アコースティックのものも聴いてみたくなるくらいの唄だったね。キャラも立ってるし、彼が唄ったらyasuのサウンドになるのかも知れないね。あそこで僕がギター弾いてたら、どんな感じだっただろうって、ちょっとヤキモチもあったよ(笑)。


ーーありがとうございます(笑)。では最後に、この特設サイトを読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。


YOU:新しいアルバムの「Lーエルー」は、今日の段階では僕はまだ全部聴いてないですが、今までの感じからいうと、僕らミュージシャンも楽しめるアルバムになってるんだろうなと思います。そしてまた、もしABCがアルバムを出すことがあるとしたら、『2012』の時みたいに、1曲目をゲットしたいと思います(笑)。ABCのファンの皆さん、僕がまた一曲目を弾けるように応援してください(笑)。