Bass : IKUO(BULL ZEICHEN 88 / Rayflower)

ーーニューアルバム「Lーエルー」に収録される「Greed Greed Greed」をはじめ、これまでも数々の楽曲に参加してくださっているIKUOさん。IKUOさんにもこの企画で色々お話を伺わせてください!ではまず最初に、IKUOさんから見たAcid Black Cherryって、どんなプロジェクトに映っていますか?

IKUO:やっぱりソロなので、バンドとは違うじゃないですか?ソロだったら「yasu」でいいと思うんですけど、そこを「yasu」って名前じゃなくて、自分で作詞・作曲・アレンジして世界観を表現して、あえてAcid Black Cherryって名前を使っているっていうのは、意味としてはやっぱりバンドサウンド思考なんだなって思いますね。やってるサウンドも普通にバンドサウンドな気がするし、ミュージシャンも、特にライブはパーソナリティが出てるから、すごくバンドっぽいなって。なので、位置づけとしては、ABCはバンドとソロの間くらいっていうイメージというか、バンドっぽいソロみたいな感じですかね。

ーーなるほど!では、ABCの作品に関してはどんな印象をお持ちですか?

IKUO:時代時代のモダンな部分というか、そういうものを上手く入れつつも、ブレてない。yasuくんの曲自体に、彼の声と曲と世界がすごく統一されている気がしますね。「ABCっぽさ」っていうのをすごく感じますね。それがコード進行なのか、メロディーなのか、色んな要素があるにせよ、yasuくんじゃなきゃ出来ない世界観っていうのが創られてる感じがしています。バックミュージシャンにも色んな人を起用していて、僕もそこで参加させていただいてますけど、そういう部分でもプレイヤーがなんたるかをちゃんと見てくれている気がしますね。yasuくんはバンドマンなのかも知れないですけど、なぜこの人に頼んだのかっていうのをすごく尊重してくれるので、そういうところは、バンドマンとはまた違ったプロデューサー気質があるようにも感じますね。

ーーその流れでお聞きしたいのですが、レコーディング前にyasuさんが作ったデモをお聴きいただきますよね。そのデモ音源にもそういうのを感じたりします?

IKUO:デモ自体がすごく世界観が見えやすいのと、僕のイメージでは割と完パケに近い感じですもんね。いわゆる、ただのメロディーがあってっていうだけのデモじゃなくて、もうちょっと一歩先に進んだデモというか。クオリティーがすごく高いですね。「ジグソー」とか特にすごくて、完全に世界観が出来てるものでしたし、「Greed Greed Greed」もそうでした。こういうアーティストでありプロデューサーである人って、「こういうアレンジにしたい」っていう完成形をデモの段階でも最後まで作り込むから、デモのクオリティが高くて世界観が見えやすいんですよね。yasuくんのデモもそういう部分が強くて、このデモを基に「シンセベースから生ベースにして行く時に、どういう風にエッセンスを加えて行くか」、「世界観を壊さず、なおかつ打ち込みよりもさらにビルドアップする」、「生であるべき良い部分を出して行く」というような感覚だと思うんで、デモの時点でしっかり作ってくるんだなって思いますね。yasuくんの中で、きちんと世界観が出来上がってるんだなっていう感じがします。

ーーなるほど!そして、IKUOさんに最初に作品に参加していただいたのって、アルバムで言うと「Q.E.D.」ですよね?

IKUO:そうですね。「シグソー」とか「1954 Love/Hate」とか、割とラウドな感じの曲たちでしたね。僕がやってるバンドのBULL ZEICHEN 88が、ABC主催イベントの「SWAPPING ROCK PARTY!」に出させてもらって、そこで初めてyasuくんと会って、対バンさせてもらって、僕のベーススタイルを見てもらったと思うんですけど、割とヘヴィでテクニカルというか、yasuくんの大好きなスラップも僕は結構やるので、そういう意味で、スラップみたいな小技がちょっと効いたような曲を弾いてほしいって話だったと思うんですよね。曲の中にスラップをちょっと入れてみたりとか、そういう要求がすごく多かったと思いますね。「ジグソー」に関しては、どちらかというとラウドでROCKなイメージですね。多分そういうところが、yasuくんが持ってる僕のイメージなのかなって思いますね。あと個人的には、僕が弾かせてもらっている曲は、菅沼孝三さんがドラムだったことが多かったんですけど、実はその時まで、孝三さんもお会いしたのが2回目くらいで、レコーディングなんてもちろん初めてだったので、ある意味すごい経験をさせてもらいましたね。「おぉ!菅沼孝三さんと一緒に演奏できた」っていうね。yasuくんに感謝してます(笑)。

ーーそうなんですね! レコーディング中は、yasuさんとディスカッションとかしてベースを録っていく感じなんですか?

IKUO:割と先に好きにやらせてもらって、そこからyasuくんの意見とかを聞いていってっていう感じですね。自分の音色っていうものももちろんあるし、これまでに色々とABCでやらせてもらってるのもあるので、音色作りをしながら、とりあえずつるっと一回弾くって感じですね。その上で、これはどこの現場でもそうですけど、プロデューサーの方、ABCでいうとyasuくんの思い描いている音色が自分と合えば、そのまま進んで行って、NGだったら当然変えていくってことももちろんありつつ。ただ、意外とyasuくんはOKだって言ってくれることも多くて(笑)。割と自分の存在感も残してもらってるので、結局はそこが求められてる部分の1つでもあるのかなって思ってますね。音色とプレイ内容、サビとかは自分の足跡を残せるようにって思っているので、それでyasuくんが満足してくれることが一番だと思ってます。

ーーそういったレコーディングの関わりで、求めるものが分かったりする中で、yasuさん自体のパーソナリティも見えますよね。

IKUO:とにかく物事をすごくはっきり言う人だなって。良いものは良い、悪いものは悪いっていうのがすごくハッキリしてますね。あとは、アーティストだけど、すごく腰の低いイメージ。腰が低いっていうのは表現が違うかもしれないですね。自然体と言うべきでしょうかね。普段はステージ上のオーラとはちょっと違う、普通にすごくいい人ですね。気取ってもいないから、すごくしゃべりやすいし。yasuくんって、話したがりじゃなくて聞き上手なんですよね。すごい質問されますもん。「普段音楽ってどんなの聴くんですか?」とか「ベースの練習ってどういうことするんですか?」とか。人にすごく興味を持ってるんだろうなって思いますね。自分に興味を持ってくれてるっていうのが分かるから、すごく嬉しいですよ。

ーーそのお話で、IKUOさんにお伺いしたいんですけど、yasuさんはこの数年、教則DVDを見たりして、ベースという楽器をすごく研究してるんです。デモとか作品作りの場面でyasuさんの進化に気づいたりする部分もありました?

IKUO:それはもう完全に「Greed Greed Greed」ですね! 「Greed Greed Greed」のデモを聴いた時に思ったのは、結構ベースをやってる人の印象でしたから。あれはyasuくんが、ベースのスラップ奏法をしっかりと理解したからこそ作れるフレーズですよね。ラウドなんだけどファンキーなスラップの要素をしっかりと入れてるというか。すごく見えたので、あの曲はデモに忠実に弾いてますね。ただね、あのフレーズって難しいんですよ(笑)。ギターのリフと絡めるのが難しいというかね。レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)とかみたいに、ベースのリフとギターのリフがあんまりシンクロしない、ラウドな感じでスラップを弾くってのは、実はすごく難しくて。あとは、チューニングも特殊ですしね。色々大変なところはありましたけど、ベースのフレーズとしては、完全にベース経験者が作ったものになってましたね。

ーーそうなんですね。それはすごい話ですね!

IKUO:だから、ライブでSHUSEくんもおそらく大変だと思いますよ。どう考えても難しいですからね。音作りも含めて。あそこまでスラップをメインにする曲を、まさかyasuくんが作るとは思わなかったし、あれを弾ける人もなかなかいないと思いますよ。だから僕としては、すごくやりがいのある曲でした。本当にカッコいい曲を作りますよね。

ーーIKUOさんには、その「Greed Greed Greed」のミュージックビデオにも出ていただきました。ライブシーンはもちろん、オタクシーンにも出ていただいて。

IKUO:ノリノリでやらしてもらいましたよ。まさかの僕が!?って思いもしたんですけど、やらせてもらえるってことの方が嬉しくて。オタク云々とかじゃなくて、念願のABCに参加できるってことで、嬉しかったですよ。僕もTEAM ABCに入れたというかね。ライブシーンにはお客さんが入ってたから、本当にライブをやってるような感覚でしたし。なので、めちゃくちゃ楽しかったすね。オタクのところでもちゃんと演奏してるっていうのがね、いいですよね。すごく面白かったです。完成した映像も見させてもらいましたけど、ソロも多かったからか、いっぱい映ってるなって(笑)。ちょっと恐縮してしまいました(笑)。

ーーさて、ここからはABCのライブについてもお伺いしていこうと思います。ABCのライブって、どんな印象ですか?

IKUO:僕ね、スケジュールが合わなくて、ABCのライブはあまり生で見たことがないんですよ。だから、ABC主催のイベントライブ「SWAPPING ROCK PARTY!」の時と、去年の夏に新潟でやったイベント「音楽と髭」に、僕がTMRのサポートで出た時にABCも一緒に出てたので、その時にライブを見た感じですね。生のABCはそれくらいかも知れないですね。2011年の山梨のコニファーフォレストのライブの生中継とか、LIVE DVDとか、映像はたくさん見てるんですけど、生のライブはほぼ経験してないんですよね。ただ、その生でも映像でもABCのライブを見た印象としては、もうバンドのライブにしか見えないですよね。僕が思い描く“バンド”ですね。サポートメンバーが、いわゆるバックバンドっていう感じがしないし。だから、普通にかっこいいAcid Black Cherryっていうロックバンドに見える。あと、サポートもすごいメンバーが集まってるから、ほんとスーパーバンドというか、コラボレーションバンドみたいな感じもするし。それぞれのミュージシャンが、モチベーションを持ってアーティスティックにパフォーマンスできる環境があるんですよね。でも、それは、yasuくんが指揮棒を振って、曲を書いて、アレンジをしてっていうプロデューサーでもあるから、やっぱりyasuくんがそうさせてるんだろうなって思いますね。僕の場合は、バックバンドっていう仕事が多かったりするんですけど、そうなるとロックバンドっていう意識ではないんですよ。色んな意味で、頭の中で自分のバンドとバックの仕事の線引きっていうのがすごくあるんです。自分のバンドの時は、自分たちの曲をやるわけだし、パフォーマンスも自由だし、モチベーションもすごいんですよ。サポートは楽しいけれど、緊張感がすごくあったりする。僕もいまだに緊張するし。ABCのサポートメンバーの皆さんも、自分のバンドをそれぞれがやってるじゃないですか。きっとABCの時と自分のバンドとは違うと思うんですよ。でも、きっと良いバランスでそれぞれができてるからこそ、ABCで良いライブが出来てるんだろうなって思いますね。皆さんキャリアもあるし、色んな線引きも出来てるだろうから。それと何よりもyasuくんが唄いやすいように、パフォーマンスしやすいようにしているんだろうなって思いますね。

ーーでは、最後になりますが、この特設サイトを見てくださっているABCのファンの皆様にIKUOさんからメッセージをお願いします。

IKUO:今回のアルバム「Lーエルー」にも、前回に引き続き参加させていただきました。いつも言ってますが、僕はyasuくんの作る曲が本当に好きで、唄声も好きで、yasuくんの人間性も好きで。そういう自分が好きな曲とか、好きな唄声だとか、リスペクトしている人のところに呼ばれて、自分の音が収録されたCDを出せるってことは、僕にとってこれ以上嬉しいことはないですね。僕は色んなジャンルでやらせてもらってますけど、自分のバンドのBULL ZEICHEN 88が活動するフィールドとyasuくんのAcid Black Cherryというフィールドが一番近いところにあるので、自分の中ではABCに参加してるってことはとても光栄なことだし、すごく大きいものになっていますね。ABCのファンの皆さんも、是非アルバム「Lーエルー」のベースも聴いてもらって、楽しんでもらえたらと思います。そして、いつかyasuくんと同じステージで演奏するというのが、僕の夢です。