Media & Music Writer Review

ふくりゅう / 音楽コンシェルジュ

Acid Black Cherry 、4thアルバム『L-エル-』は、100ページに渡るコンセプト・ストーリーを記したブックレットがCD+DVD盤に同梱されている。物語のテーマは“愛”。少女エルはどんな環境で生まれ、どんな人生を送るのか。そして、その結末とは? 主人公エルの波瀾万丈な生涯を俯瞰の視点で伝えることで、リスナー自身の人生と照らし合わせ、“生きるとは?”という問いへの“気づき”を与えてくれる。音楽単体としても、小説としても楽しめる、アルバムの世界観に同化できる共感度の高い作品に仕上がっているのだ。

アルバム『L-エル-』は、Acid Black Cherry らしさ溢れるハードなギターが印象的なエモーショナルなロックナンバーが多数収録されている。なかでもオススメは3曲目「エストエム」だ。リズミカルなビートロック・ナンバーであり、エロティックな世界観をつむぎだす言葉が感情をアップリフトしてくれる。ロックバンドBOØWYに憧れていたというジャパニーズロック伝統芸とも言えるサビでの高揚感を、次世代へつないでくれる王道感と実験性のせめぎ合いがたまらない。

物語が展開していく5曲目「L-エル-」で鳴り響くファンタジックなストーリーテリングな楽曲にも注目したい。もはや、Acid Black CherryはV系の呪縛を乗り越え、ロック&ポップ・シーンで独自のポジションを築き上げた逸材だが、淡くせつない音楽性の豊かさに驚かされた。このファンタジー性は7曲目のポップなシャッフル・ビートが心地良い「7 colors」でも体感できる。さらに、ハードに盛り上がる先行シングルでリリースされた9曲目「黒猫~Adult Black Cat~」でのホーンセクションとのメロディックに妖艶なセッションもヤバい。物語としては、ここでの出会いが主人公を破滅へと誘うことになる。

アルバムを締めくくる13曲目「Loves」での、エルへ手向けられたシンプルながら力強いピアノバラードの神々しさには涙が止まらない。そして、コンセプチュアルに連なってきた物語を受け止め、14曲目「&you」へと畳み掛けるようにエンディングへと流れていく開放的なドラマティック・ナンバーへ。“人生の儚さと悲しさと愛を感じる”驚愕のラストシーンに注目して欲しい。