Media & Music Writer Review

小野緑 / ライター

初対面で一目惚れしたひねくれ者の戯言(たわごと)

「ヴィジュアル系」なんて、みんな似たり寄ったりだと思っていた。同じような顔の美形のボーカリストは、アイライン強めのメイク。巧みな裏声でシャウトし、重たいサウンドに乗って立て続けに観念的な熟語を並べ立てる。クールな眼差しで、極めつけはカッコイイ英語のリフレイン。
はいはい、またこの感じね……。
しかし、Acid Black Cherryのアルバム『L-エル-』を聞いた時、ひねくれた先入観が木端微塵に吹っ飛んだ。
これは間違いなく、音楽を纏った『文学』……BUNGAKUだ。
その言葉は、研ぎ澄まされた表現や、リアルな言葉に満ちていて、高速サウンドなんかに乗せたらこぼれ落ちてしまいそうなのに、ボーカルはメロディの上を滑るように語り尽くし、それが胸にグイグイと突き刺さる。そう、メロディはその言葉を届ける翼なのだ。激しい情念をヘヴィなサウンドで叩きつけたと思えば、ミディアムナンバーで、ドラマチックにつぶやいてみたりする。例えば、「Greed Greed Greed」では、粒選りの単語で短歌のように韻を踏み、「versus G」なんてまるでシェークスピアだ!
物語をなぞって聴くもよし、自分の生き方に重ね合わせて聴くもよし。
私は、この大作を書き上げた彼の魂に、一目惚れしてしまった。
これが、ライブというエンタテイメントの中で、より生々しく語られるのが、今から待ち遠しくてならない